会長挨拶
織田信長が”人間50年夢幻の如くなり”と謳ってから約450年の時を経て、人生100年時代と言われるようになりました。特に本邦は健康診断、疾患啓発などの影響もあり世界でもトップクラスの長寿国です。さらに日本の優秀な医療保険制度のおかげで多くの国民が医療の恩恵を一様に受けることができる状況です。私が医師になり循環器内科医になってこの20年間にカテーテルインターベンション領域は目覚ましい発展を遂げてまいりました。研修医や専攻医の時代には耐術能のない重症大動脈弁狭窄症の高齢患者さんを何もできずに看取っていましたが、あの時の患者さん達があと10-15年遅く生まれていれば救われていたことでしょう。
一方で医学の進歩に伴う我々医療スタッフの責任は重大であります。手術症例数が多ければ多いほど”いい病院”とされるような症例数至上主義には注意が必要ですし、治療ができる力を持つと、ついつい手術適応が微妙な患者さんに対しても治療を行ってしまう、などという現状を時々見かけますが、ご存知の通り日本の医療費は爆発的に増加しております。日本を取り巻く国際状況は緊張を増してきており、防衛費も徐々に増えていますが(7兆円弱)、医療費は40兆円を超えており、防衛費の約6倍にものぼります。それに対して今後税金を払う世代の人口の減少など、様々な問題がある中、限られた財源で最良の医療を実践しなくてはいけません。我々インターベンション医、それにかかわる医療スタッフは必要な治療を最適な患者さんに施すことで、より有効な医療の実践を心掛ける必要がある時代に入ってきていると思います。
この度ストラクチャークラブジャパン・ライブデモンストレーション2024の会長を拝命するにあたり、本会のテーマを”医療(SHDインターベンション)の最適化”とし皆様と切磋琢磨する機会にできればと思います。さらにメディカルスタッフ部門では患者さんが疾患に罹患してから病院に受診、治療、その後のリハビリなどのPatient’s journeyを網羅的に患者さん目線からの医療を議論していきます。ぜひ、本会が皆様の今後の日常臨床に役立つことを祈念したいと思います。
ストラクチャークラブ・ジャパン ライブデモンストレーション 2024
会長 近畿大学 中澤学